「占いサイト」が数多くあります。
中には、「よく当たる」と言われているものもあります。
しかし、本当に当たっているのでしょうか。
当たるとなれば、その占い師は予言能力を持つ超能力者なのでしょうか。
もしくは予言者といったほうがいいでしょうか。
予言者といえばノストラダムスが有名ですね。
その予言書は、一つの項目が4行の詩からなるものなのですが、
内容は抽象的な表現がされているだけで、
「1999年に人類が滅亡する」とずばり書かれていたわけではないです。
そういう解釈、読みかたもできたというだけで、
抽象的な表現であるため、いい意味にも悪い意味にも、
どんな意味にでもこじつけができるってことです。

占いってのも結局は同じことなんです。
その「お告げ」を読んだ方が、自分の身近な事柄にあてはめて、
「これはあのことを言ってるんだわ」と勝手に解釈して、
当たっていると信じこんでいる、それだけなのです。
勝手な解釈、強引なこじつけ、それだけですね。
実にナンセンスだと思います。

こう書くことには理由がありまして、
夢をこわすようで申しわけないのですが、
実は私、数年前になりますが、
占いサイトのゴーストライターをやっていたことがあります。

毎週、占いサイトの運営会社より、
「来週の各星座の運勢はこれでいきます」といった
方針のようなものが送られてきます。
それをもとにして文章をふくらませて、
占いのお告げっぽいものにするのが私の仕事でした。
指示されていたのは、
・若い女性が対象なので、ソフトでファンタジックな文章にしてくれ。
・あまり悪い内容は書かないように。
の2点です。
ただし、いいことばかり書いたのではリアリティに欠けるので、
少しはマイナスっぽいことも書くように、
たとえば
「今週は運気が低迷しますが、それは来週の上昇への準備なのです」
といった、先に希望をもたせるような内容で書くようにと言われてました。

そして、最重要なのが、「具体的なことは書かないように」です。
1つの文章を10人が読めば、10とおりの解釈ができるような文章、
読んだ方がそれぞれ自分のイメージで意味を考えられる
できるだけ抽象的な文章、ただし抽象すぎない程度に、
そういうものが望ましいとされてました。

その「お告げ」の方針なのですが、
占い師が星の動きを見ながら超能力で未来を予測していたわけではなく、
社員が適当に考えていたそうです。
「今週のてんびん座は、うーん、どんな運勢にしておこうかな」とか
そんな感じだったのではないかと思います。
確かにそうでしょうね、
未来のことがわかるのはドラえもんとのび太くらいでしょう。

そんなわけで、結局占いってのは単なる読み物でしかないのですよ。
自分自身でその「お告げ」に自分のことを照らし合わせて楽しむもので、
当たるも当たらないもないんですよ。

私はやぎ座(一時期はへびつかい座でした)なんですが、
誕生日が近く、同じ星座の知人が何人もいます。
しかし、その方たちと似たような運勢になってたってことは
ほとんどないですね。
ましてや十二支占いとなれば、
学校の同級生の大半が同じ運勢になるのでしょうけど、
あいつもあいつもあいつも・・・同じ運勢かってことは全然ないですね。

「よく当たる」と称される占いサイトは、まず、文章が長いです。
一言だけだと「いや、違うな」と判断されるのですが、
長文であれば、あれこれイメージできる箇所が多いので
「すごい、ここ、当たってる」といった箇所が
いくつか出てきてもおかしくはないです。
もちろん、その当たりってのは、自分自身で勝手に解釈したものです。

そして、文章のタッチや構成が実に巧みです。
本人が書くのかゴーストライターがいるのかはわかりませんが、
わりと長い「読ませる文章」になってます。
ただし、具体的なことは書かず、ぼんやりとした抽象的な表現を多くして、
読む方が自分にあてはめやすい仕掛けが多いですね。
人気の高い占いサイトには、
盲信的なファンや、中毒になっている方までいますね。
そのサイトのお告げをなぞって行動するようなことをされる方までいます。
異常としか言えないです。

私は今、占い関連の仕事は一切受けてません。
けっこういい報酬になりますが、断ってます。
理由は、良心がとがめるからです。
私の書いた文章を読んで、
それを信じてなぞるようなことをされる方が出てこられては、
その人をだましている感覚になるんです。
単に読み物として楽しむだけならいいのですが、
それを信じて、そのとおりに動くとか、
そんなことになるのは怖い、私はそう思ってその仕事をやめました。

学生の頃なんですが、ある雑誌の新年号に
その年の年間の運勢ってのがかなりのページをさいて載ってました。
「やぎ座のあなたは、今年は数十年に一度のラッキーイヤーです」
とありました。
そうか、それはすごい、どんな幸運があるのだろうかと思ってましたが、
それっぽいことは何もなく、
逆に、スパーリングで鼻を骨折して、
治ってないのに試合に出て、
ヘタにねばったためフルラウンド戦うことになり、
その分被弾が多かったため、
鼻から脳にダメージが伝わり続け、
試合の翌日に頭が痛いと病院に行けば、
「1週間後に再検査をして、状態によっては開頭手術ねっ」と言われ、
それって数十年に一度の不幸じゃないのかと思ってました。

1週間後の検査の結果、手術はなしでしたが、
「向こう1年間は飲酒と熱い風呂は厳禁よっ」と言われました。

本当はそこで死んでたとか、開頭手術をすることになってたはずなのに、
その程度に収まったってことが
「数十年に一度の幸運」だったのかもしれないですね。
要はどんなことでも、
その「お告げ」なるものにこじつけて考えられるようになってるってことです。

この話程度で
「もう占いなんて信じない」と考える方はいないと思います。
もともと信じていない方はそのままでしょうし、
狂信的な占い信者は、これからも占いのお告げをなぞって
それに合わせて生きていくのでしょう。
それはそれで、本人が満足するならいいんじゃないのって思います。
ただ、私は、うそつきの片棒を担ぐことはもうしたくありません。