コピーライターから作家に転身された方は何人もいらっしゃる。
中にはもともとが作家志望で、そこにいきつくまでに
コピーライターを経験された方もいるかもしれない。

コピーライターっては、
キャッチコピーを書いてそれで終わりというわけではない。
私は「本文」と称しているが、ボディコピーを書くことも必要になる。
そのボディコピーを簡潔に書くには、
それ以上に長い文章を書き、それを削ったり、加えたり、
もみほぐしたり、固めたり、つついたり、ころがしたりを繰り返す。
ボディコピーはいらない、キャッチコピーだけをくれといった仕事であっても、
まずボディコピーを書き込んでからキャッチコピーを書く。
いきなりキャッチコピーを書くことは少ないし、苦手だ。

その作業を続ける中から、
ボディコピーにリンクしたキャッチコピーが生み出されることになる。
私は実務においてはいつもその手法をとる。
長い文章を書くには、その商品やサービスを深く理解しなければならない、
理解したうえで文章を書かなければ、
中身のない薄っぺらな軽いふわふわのコピーになってしまうからだ。
「いや、これはね、こういう意味で」といちいち説明しないと意味がわからない、
あるいは、うーん・・・としばらく考えなければ意味がわからない
そんなコピーなど書きたくないのだ。
広告文を真剣に読み込んで理解しようとする方がどれだけいるというのか。
本や雑誌を読むのではない、広告だ、芸術作品でも文芸作品でもないのだ。
能動的なアクションで見ることなどほとんどないと思わなければならない。
そんな状態にある方に対して、薄く軽い表現など頭に残らんだろう。

練り上げて土台から鍛えて作ったコピーは、

さほどひねりや言いまわしに工夫をしたわけでもない

ストレートに近い言葉であっても、

記憶に残る重みと、人を動かす強い力を持つものだと思っている。


昨年から広告修行のひとつとして、小説を書いている。

ひとつの物語を構成して、細部をていねいに書き込んで表現する、

その小説を書く手法は広告制作力に大きな力と影響を与えるだろう。

短いコピーの中に、深いストーリーがイメージされるような、

そんなコピーを次から次へと書きまくれるようになりたい。