3月、取材や情報収集を続け、原稿を書き進めていくうちに

「オリックスっていい選手たくさんいるのに、なんでずっと低迷してるんだ」と

不思議に思うようになった。

考えられることはひとつ、

選手個々の能力は高くても、チームとしてのまとまりがないのだ。

さらには、低迷の日々に慣れてしまって

「しかたないよ」「こんなもんだよ」と簡単にあきらめてしまう、

言うならば、勝ちたいと思う強い気持ちに欠ける選手が多いのではないか。


情報収集を続ける中で、森脇監督がことあるごとに

「気持ち」、そして「チームワーク」という言葉を強調することに気づいた。

その部分をなんとかすれば、もともと能力の高い選手がそろっているだけに

ひとつにまとまれば強さを発揮するのではないか、そう思った。

そのことはそのまま記事の中に書いた。


しかし、オープン戦の成績はかんばしくない。

やっぱりそう甘くはないのかなと思いつつ、

いや、オープン戦の成績はあてにならないだろうとも思ったり複雑だった。


シーズンが始まり、オリックスは開幕戦を2年連続の延長の末に敗戦という

不名誉な記録を作って負けてしまった。

しかし、その後の快進撃は今誰もが知るところである。


4月にはいって、勝ちを重ね始めた時、

「これはもしかして」と思い、希望を前に出した新しい記事を入れて、

阪急ブレーブス時代の記事と入れ替えた。

原稿の納期は4月末とされていたが、

自分の中で「できるだけ急いだほうがいい」の直感があり、

他の仕事をセーブしたり、オフィスの泊まりこみや徹夜を重ねて

4月の半ばにすべての原稿を書き終えて入稿した。


( 続 く )