前回、取材を重要視する制作スタンスについて書いた。
今回はその続きである。

取材が十分にできていないと、
その会社、商品、サービスの本質をとらえることができず、
イメージに頼ったありきたりの広告になってしまう。
社名や商品名を入れ替えれば、競合他社・競合他商品に
そのまま使える「首のすげかえ」が可能な広告である。
特に新聞や雑誌といった平面媒体を手がける際には、
その会社や商品のオンリーワン性を重視している。
本分はもちろんのこと、キャッチコピーもその会社の広告以外には
流用できないであろうレベルにしたいのだ。
なので、その会社や商品についてはできるだけの資料を集め、
どの部分を最大の魅力としてアピールするかを考え、
さらに、「うちはここが他と違うよ」、「ここが新しいよ」を
いかにうまくわかりやすく、心をとらえる表現にするか、を考える。

しかし、仕事の場合はその資料集め、
すなわち取材が十分にできるのだが、
公募の広告賞の応募となるとそれがどうしても不十分になってしまう。
賞の課題に対してできる資料集めとなると、
せいぜいWEBサイトからの情報収集と、
そこまですることはめったにないが、
商品を入手したりサービスを体感して得られる情報くらいだろう。
あとは、その周辺から情報を探してみるといった程度になる。
そうなるとどうしてもできあがる内容も濃さに欠けるものになってしまう。
ただ、それは他の応募者の皆さんも同じ条件であり、
材料が少ないなら少ない中で、いかにいい味付けをして、
おいしいものに仕上げていくかが腕の見せどころであろう。

私はまだその手法が下手であり未熟なので、
時には辛みが強すぎたり、甘ったるい味のものを作ってしまうこともある。
しかしここでも、「可もなく不可もなく平坦な味」は作りたくない。
食べたあと、何の余韻もなく、印象にも残らないであろうからだ。
それでは意味がないだろうと思う。
しかし、「辛すぎて食べられない」とか、
「ゲテモノすぎて食べる気になれない」といったところまでやるのは、
作った本人が喜んでいるだけで、
食べさせられる側には悪い印象しか残らず、
逆効果になるだろうと思う。