初めて飛行機に乗ったのは22歳の秋、
当時勤めていた会社の社員旅行であった。
行き先はハワイ、時差の関係で2泊4日の日程である。

私はそれまで飛行機に乗ったことがなかった。
海外旅行には行ったことがない。
生まれ育ちは四国の愛媛で、小学校の修学旅行は高知、
中学校では大阪・京都・奈良、
高校では九州一周(ただし福岡を除く)であった。
その他、遠方へ旅行したことはなく、
琵琶湖から東へは行ったことがなかった。

そんな私がハワイに行くことになったわけで、
ハワイって常夏だというけど何を着ていけばいいんだろう、とか
金はやっぱりドルだよな? など、
会社の友人にあれこれ相談した。
しかし、この友人が実はまたろくでもない野郎だったのだ。

社員旅行の1ヶ月ほど前、旅行代理店の担当者を招いての
説明会が社内で開かれた。
おおよその行動計画や注意点などが説明された後、
質疑応答に進む。
「拳銃を撃てるスポットがあるそうですが、行けますか?」
「ディスコに行きたいんですが、日本語は通じますか?」
といった質問が続いた後、私も確認しておきたいことがあったので
挙手して質問をした。
「飛行機に乗る時、ネクタイ着用だと聞いたんですが・・・」

たちまちうちに社内中が爆笑の嵐となった。
あれこれ相談した友人にかつがれていたのであった。
やられた・・・あの野郎・・・。
しかし、それで終わる私ではない。
それからしばらく後、吉○家に行ったことがないというその友人に
「牛丼の他にサラダや味噌汁などのサイドメニューがあって、
 すべて別料金で有料、七味もひと振り10円かかる」と説明し、
それを信じた友人に、
「すみません、七味ふた振り分ください」と言わせることに成功した。

その後何度か飛行機に乗ることはあったが、
うーんなんというかやっぱり飛行機は好きになれない。
よほど急がないといけないといったことでなければ、
たとえば東京に行くにも、飛行機より新幹線を選ぶだろう。