自立神経失調症という病気があります。
メンタルの病気なのですが、病気として認められないことも多くあります。
うつ状態や、パニック障害、その他の症状がでるのですが、
メンタルの病気はわりと複雑だったり、
みきわめが難しかったりで、
よくわからんから、この病名にしておくかと、
数回の通院でその病名をつけられることも多いと聞いてます。

私も23歳の時に初めて、この病気にかかりました。
自覚した症状はいろいろで、
立ったら目まいが起こってしばらく歩けない、
椅子に座ったら、そのまま沈んで吸い込まれるような感覚になる、
普通に歩いているのに電柱にぶつかる、
ちゃんと見ているのに、
下ってくるエスカレーターに懸命に乗ろうとして、
乗れないことをおかしいなと思う、
普通に自転車に乗っていて、みぞに落ちる、
1人暮らしで部屋には自分しかいないのに誰かの話し声が聞こえ、
誰だろうと考えているとそれは自分のひとりごとだった、
夜寝て、目覚めたら2日後だった、
ほんとにいろいろな症状が出ました。

その時の原因は仕事のことです。
仕事というよりも、勤務していた会社のことです。

当時の私は、求人広告を主に扱う広告代理店の営業職でした。
営業なので、評価は売上の数字がすべてでした。
「営業は売ってなんぼ」
「言いたいことがあるなら、数字上げてから言えや」
「結果の数字がすべて、頑張っただけでは評価にならん」
と事あるごとに言われてました。

私は入社当時は成績悪かったんです。
口下手で、滑舌は悪く、無愛想で、営業に向いてないなと思ってました。
しかし、営業なのだから売上を作って成果を出さないとならないわけで、
そこで編み出したのが、
訪問先で話を聞いたらその場ですぐ「こういう原稿を作ればいいですよ」と
即興で企画を立てて説明するスタイルでした。
その方法に変えてからは成績が上がり始め、
新規開拓件数も、目標売上額達成率も社内で上位になり、
リクルートの代理店グループ全体でも何度か表彰を受けるようなことにもなり、
いやあ自分でもやればできるじゃないかと思ってました。

入社した年の年末ですが、
同期入社10人のうち、
2人が「サブリーダー」とよばれる役職に昇格することになってました。
それは少し早い時期から、社長がそう宣言しており、
昇格の最低条件は、4月以降9ヶ月間の売上目標額の通算達成率80%以上、
それをクリアしていたのは10人中3人、
私は12月の時点で92%、その12月も月間目標に対して順調に近づいており、
どうころんでも通算90%をきることはないレベルにありました。

そうなると、昇格候補者3人のうち、2人が昇格することになります。
目標達成率上位2人は90%以上で均衡しており、
3人目は80%を少し超えるところだったので、
これなら上位2人がそのまま昇格するのだろうと本人たちはもちろん、
周囲の同期社員もそう考えていました。

しかし、昇格したのは1位と3位の2人で、私ははずれました。
直属の上司にそれを聞かされ、なぜだと問い詰めると
「仕事にばかり目を向けていて、周囲に目が向いていない」
「性格が内向的なので、管理職には向かない」
といった理由を告げられました。
じゃあ、「数字がすべて」の言葉はなんだったんだよと反論しましたが、
「決まったことだから」と一蹴されました。

それがきっかけで、精神的なダメージで発症しました。

信じていたことに対して、いわば大きな裏切りを受けた時、
信じ続けて頑張り続けていた分、
返されるショックもダメージもそれだけ大きなものになるわけで、
ではあれだけ頑張ってきたことは、
いったいなんだったんだと、大きな虚無感が自分に襲いかかり、
気持ちを支えていたものが弾け飛ぶ、そんなところでしょうか。


その病気にかかる人は、ほとんどが「頑張りすぎる人」みたいです。
頑張らなくてもうまくやっていける世渡りのうまい人や、
すぐにあきらめたり、すぐに逃げたり、頑張ることを知らない人は
あまり縁のない病気だと言われているのではないでしょうか。

よく言われるのが
「うつ状態の方には、頑張れと言うな」ですが、
それはよくわかります。

けど、ではどうすればいいのかと聞かれると、
わからないです。

私は発症後、仕事ができなくなって3ヶ月ほど休職しました。
長く休んだ後、
また頑張らなければ、と思って復職したんですが、
やっぱりだめで、結局退職することになりました。

そのへんの詳しいことはまたそのうち書きます。