金に関しての冗談は絶対に言わないし、言うやつも嫌いである。
また、金に関することをいいかげんにするやつも嫌いだ。

何年前だったか、梅田で仕事の途中に遅い昼食をとることにした。
初めて入ったその店には客は他に誰もいない。
カウンターの席に座り、ランチを注文すると
店主らしいおっさんが何か言った。
何と言われたか聞き取れなかったのだが、
そばにいたおばはん(奥さんだと思う)が
「からかうのやめとき、おとなしそうな人やのに」
とおっさんをたしなめた。

は? 俺は今からかわれたのか?
腹がたったが、何を言われたのかよくわからないし、
まあいいかとそのまま聞き流すことにした。

食べ終えて立ち上がると、おっさんが声をかけてきた。
「おおきに、そしたら700万円ね」

それを聞いた瞬間、頭の中でゴングが鳴った。

「なんて? よう聞こえんかったわ、もういっぺん言うて」
おっさんの表情がこわばる。
「いや、お会計・・・」
「そやから、それはなんぼやって聞いてんねん?」
そこでおばはんが慌てて割って入る。
「ごめんごめん、こっちが悪かったわ」
で、おっさんも渋々ながら頭を下げたので
それ以上何も言わず金を払って出た。

おっさんからすれば「冗談の通じないやつ」と思われただろうが、
金のことで冗談を言うやつは嫌いなのだ。


また別のことだが、
ある会社で商談の際に最低といえる担当者にあたったことがある。
「では金額はこれでいいけど、仲介料として俺にいくらくれるの?」と
言ってみたり、
コーヒーを出されてそれを飲めば
「コーヒー飲んだね、それ一杯5万円だから」
などと言ってみたり、
もちろんすべて冗談であるとわかっているし、
前者の話などはそれをその会社に言えば
何らかの処罰を受けるようなレベルのことであるが、
本人はそれをわかっていない。
いい年をして自分の言っていることがわかっていないこの人も問題だが、
こんなやつに金の話を任せるその会社も会社であろう。


というわけで、金に関して冗談を言うやつは嫌いだ。