実は、オートバイが大好きだ。
これまであれやこれやと乗り継いだ。
シャリイ・ダックス・シャリイ・Z400FX・フリーウェイ250・
R&P・シャリイ・リード90・VT250Z・TZR250・Z400FX・
Z900RS・チャピイ80・シャリイ・リード90・フリーウェイ250。
そのうちで最も惚れこんで入れ込んで、まさに愛車としたのがZ400FXである。

400㏄にしてはひとまわり大きく思える車体、角ばった武骨なデザインフォルム、
低くうなる排気音、それらのすべてが私を魅了した。

初めてその存在を知ったのが高校1年(1980年)のことである。
その前年に世に出たその「FX」はたちまちうちに少年たちのあこがれの的となった。
当時、そのライバルとしてヤマハからXJ400が登場したが、
FXのほうが人気が高かったのではないだろうか。

いいなあ、かっこいいなあと憧れ続けて5年後、
20歳になったため保護者の同意なしでローンが組めることになった私は、
アルバイト先を勤務先であるようにして、
中古のFXをローンで購入した。
1979年式、初期型の真っ赤なタイプである。
マフラーは集合管に交換し、フェンダーとハンドルグリップも赤いものに替え、
シートにはシャギーを貼り、ウインカーはヨーロピアンタイプの小型のものにして、
タンクのエンブレムは現行の「Kawasaki」ではなく、
旧型の「KAWASAKI」に取り換え、なかなかいい出来栄えになった。

外見だけでなく、FXの乗り心地は最高だった。
乗せられているといった感覚はなく、乗りこなしていると感じられた。
車体は大柄だが、とりまわしはさほど苦にならない。
スピードを落としてコーナーを曲がる時など、
地面と一体になったかのような不思議な感覚でスムーズに回れた。
そんなことで、転倒したことは一度もない。
時期は違えどやはりFXに乗っていた私の友人2人は
それぞれが事故を起こしてFXから降りることになっている。
そんなことがあったため、乗るまでは
「FXは重いし、乗りにくいのだろうか」といった懸念と不安があったが、
実際に乗ってみると相性がよかったのだろうか、
それ以降に乗ったどのオートバイよりもいちばん乗りやすかったと思う。